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「活動もっと広げたい」 石巻・子ども食堂ぼんず1周年 手作り弁当を通して交流

縁日に遊びに訪れた子どもと触れ合う門間さん(右)

 地域の誰もが安心できる居場所をつくろうと、石巻市内で働く介護職員有志が月に1度、弁当を手作りし、子育て世代などに格安で提供している。活動の最終目標は「24時間誰かがいるだんらんの場所をつくること」。代表の門間妃登美さん(45)は「地域も学校も巻き込んで、活動をもっと広げていきたい」と奔走する。

 市民グループ「子ども食堂ぼんず」は昨年7月に始動した。調理施設と配布会場を借り、ボランティア数人と共に弁当約100食を丹精して配布する。

 弁当は1食大人300円、子ども100円で、おかずはコロッケや焼き魚など5、6品。子どもが喜ぶ見た目を心がけ、ハート形や動物の顔をあしらう。

 メンバーは全員が介護職で、門間さんも桃生地区の介護施設でフルタイム職員として働く。職場でも調理作業はするが、社会奉仕活動は未経験だった。

 市内外の個人や企業から食材や寄付金などの支援を受ける。集まる善意はコメや新鮮な野菜のほか、花、洋菓子など幅広い。足りない分はメンバーが手出しして補う。

 活動は地域に定着した。現在は予約受け付け開始から2、3日で半分以上が埋まるという。会場には弁当をほおばる子どもの笑顔や、はしゃぎ回る姿が広がる。子育てに悩みを抱える保護者同士が情報共有する場にもなっている。

 利用者からは「子どもが野菜や魚を食べるようになった」という声が上がる。食事のメニュー決めから片付けまでの手間から開放されることで「子どもたちに優しくできる」と語る保護者もいた。

 大きな反響に、門間さんは「めっちゃうれしい。やってて良かった」と飾らない言葉で喜ぶ。自身も3人の子どもを持つシングルマザーで、一番下の長男は中学3年生。子育て世代の苦労も切実さも分かる。

 活動を通し「地域のために何かしたい人はたくさんいる」と感じるようになった。門間さんは「ど素人の私たちにできているんだから、地域が動けばもっと大きな運動になる。地域がつながり、面白い場所になっていくきっかけになればいい」と話した。

記念縁日も盛況

 「子ども食堂ぼんず」の1周年を記念した縁日が8日、石巻市貞山1丁目の石巻たばこ販売協同組合(たばこ会館)であった。ヨーヨー釣りやくじ引き、かき氷などを全て無料で提供し、子どもたちは大はしゃぎだった。

 縁日は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、イベント体験が希薄な子どもたちに夏の思い出をつくってもらおうと企画した。雨天のため室内での実施になったが、開会と同時に多くの子どもや親子が訪れ、30分ほどで約40人が来場した。

 子どもたちはくじの景品で遊び、焼きそばやフランクフルトといった縁日の定番メニューを味わった。保護者同士も交流を深め、会場はにぎやかな雰囲気に包まれていた。

 ぼんずの弁当を頻繁に利用するという同市南中里2丁目の主婦山川まいさん(33)は「お土産もあって子どもは喜んでいるし、親も情報交換ができていい」と話した。長女のえまちゃん(5)は「お弁当はいつもおいしい。今日は焼きそばが1番」と笑顔だった。

 次回の弁当配布は8月21日午後3~6時、同館で実施。その場で食べることもできる。連絡先は門間さん080(1832)2774。

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