石巻川開き祭り 高まる期待、人出どうなる 花火規模復活や3日間開催など追い風
石巻市の夏の風物詩、石巻川開き祭りが4~6日、市中心部で開かれる。100回目の今年は東日本大震災後初の3日間開催。目玉の花火大会は震災前と同じ東北有数の規模が復活し、例年より市民の期待が高まっている。一方で震災後、地域の人口や交通環境は大きく変わった。連日の猛暑や新型コロナウイルスの影響も予想される。一体どれだけの人出があるのか。見通しが立ちにくい状況で、主催者は安全開催に向けて神経をとがらせる。(保科暁史)
川開き祭りの人出の推移はグラフの通り。震災前は祭り全体が35万人前後、花火大会は20万人前後だった。震災後は大幅に規模を縮小し、人出も激減。復旧・復興の進展と主要行事の再開に合わせて徐々に回復した。新型コロナ禍による中止後、3年ぶりに開催した昨年は全体が12万8500人、花火が6万人だった。
祭りの実行委員会は今年の人出を「最低20万人、期待は昨年の倍」と見積もる。
花火は震災前と同じ会場、同じ規模で実施する。有料観覧席が早々に完売に近づくなど市民の関心は高い。節目の記念行事は東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)のドローンショーやミュージシャン藤巻亮太さんの特別ライブなど話題性の高い企画が多い。日付固定だった日程を昨年から土日開催に変更した効果も見込まれる。震災後最多の人出だった15年は日程が週末に重なった年だった。
一方で、石巻地方の人口は震災前より3万人以上減った。近年の猛暑もあり、実行委は震災前の水準には届かないと踏む。
確度の高い予測は難しいのが実情だ。震災前とは道路や鉄道などの交通環境が大きく変化。新型コロナは5類移行で心理的ハードルが下がったが、警戒を続ける市民も少なくない。5日夜の花火は仙台七夕の花火大会と日程がぶつかった。
「多くの人に来てもらい、安全な環境で祭りを楽しんでほしい」。実行委は人出増加への期待と同時に、安全確保への警戒感を高める。
最も懸念するのは熱中症対策だ。日陰のない場所に数万人が集まる花火会場では、医師や看護師を増員。救護所を設け、アナウンスで対策を呼びかける。
開北橋下流での花火大会には13年のブランクもある。交通規制を周知し、誘導の警備員も増やすが、渋滞発生などの混乱も予想される。実行委の担当者は「祭りには多くの人が集まる。熱中症対策を取り、係員の指示に従って安全に観覧してほしい」と呼びかける。
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