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100回目の夏、いざ 石巻川開き祭り きょう開幕

 石巻地方最大の夏祭り「石巻川開き祭り」が4~6日の3日間、石巻市中心部で開かれる。水難者を供養し、北上川改修に尽くした先人をたたえる祭礼は今年が100回目。新型コロナウイルス下で3年ぶりの開催だった昨年からスケールを一気に拡大し、節目を盛大に祝う。

 目玉の花火大会は会場を東日本大震災前の開北橋下流に戻し、「東北有数」と言われた規模を復活させる。尺玉や水中スターマイン、仕掛け花火など約1万6000発を打ち上げ、港町の心意気で夜空を彩る。

 100回記念事業では、東京ディズニーリゾートのドローンショーやアーティストの特別ライブなどを開催。かつての名物行事だったお化け屋敷なども復活する。水上のメイン行事「孫兵衛船競漕(きょうそう)」やフィナーレを飾る大漁踊りも参加団体数がコロナ禍前の水準に戻り、本来のにぎわいを取り戻す。

 節目を迎え、祭りは「地域の一体感醸成」といった原点を見つめ直す。街中を彩る七夕飾りは、合併前の旧町地区の子どもたちらが製作した。次の100年を見据え「市民総参加」の祭りを表現する。

節目祝い、3日間開催

 100回目を迎える今年の祭りは、東日本大震災後では初めて3日間の日程で開催する。

 祭典行事は4日午後、川村孫兵衛翁墓前供養祭などを開催し、震災犠牲者らの名前を記した灯籠を北上川に流す。5日午前には川開き祭典などを執り行う。煙火行事は初日の4日夜に供養花火を中瀬公園で打ち上げる。メインの花火大会は5日夜、開北橋下流で実施する。

 陸上行事は5、6日に中心市街地で実施する。5日の縄張神社奉納大縄引き大会は一般の部に15チーム、小学生の部に8チームがエントリーした。

 6日の小学校鼓笛隊パレードは午前と午後の2部制で実施。旧石巻市内の15校が石巻小から立町大通りまでを行進する。祭りのフィナーレを飾る大漁踊りには15団体が参加予定。新型コロナウイルスの影響で見合わせていたグループも戻り、昨年から倍増する。

 水上行事の孫兵衛船競漕(きょうそう)は北上川の住吉公園前に設ける550メートルコースを舞台にする。孫兵衛船は33チーム、女性だけで構成するミニ孫兵衛船には10チームが出場。5日に予選と敗者復活戦、6日に準々決勝から決勝までを行う。

◆4日(金)
【祭典】
午後3時30分 重吉神社祭(重吉神社) 
  3時50分 川村孫兵衛翁墓前供養祭(孫兵衛翁墓前) 
  5時    縄張神社祭(縄張神社) 
  6時    川村孫兵衛翁報恩供養祭 
        川施餓鬼供養祭 
        東日本大震災慰霊祭・13回忌法要(住吉公園) 
  6時30分 流灯(北上川・内海橋上流)
【煙火】
  7時30分 供養花火(中瀬公園)

◆5日(土)
【祭典】
午前 8時    川開き祭典(住吉公園) 
   8時45分 漁港祭・大漁安全祈願祭(石巻魚市場) 
  10時    川村孫兵衛翁報恩祭(日和山公園)
【水上】
午前 9時    孫兵衛船競漕、ミニ孫兵衛船競漕予選レース(北上川・住吉公園前)
【陸上】(全て中心市街地)
午前11時    縄張神社奉納大縄引き大会
午後 2時    一皇子宮神輿 
   3時    アクアカーニバル2023 
   4時30分 サンバチーム「アレグリア」
【特別事業】
午後5時20分 ブルーインパルス展示飛行(北上川・開北橋下流)
午後6時30分 藤巻亮太リバーサイドスペシャルライブ(中瀬公園)
午後7時10分 東京ディズニーリゾートスペシャルドローンショー(北上川・開北橋下流)
【煙火】
午後7時40分 花火大会(北上川・開北橋下流)

◆6日(日)
【水上】
午前 9時    孫兵衛船競漕、ミニ孫兵衛船競漕決勝レース(北上川・住吉公園前)
【陸上】(全て中心市街地)
午前10時30分 小学校鼓笛隊パレード第1部
午後 0時30分 エイサー石巻
   1時    縄張神社みこし
   1時30分 林家たい平師匠石巻応援団
   2時    小学校鼓笛隊パレード第2部
   3時30分 石巻中吹奏楽部
   3時40分 石巻広域消防音楽隊パレード
   4時    ものうはねこ踊り
   4時30分 東松島ひょっとこ連
   6時    大漁踊り
【特別事業】
午前10時    お化け屋敷(みやぎ生協文化会館)

「歴史継ぎ心に残る祭りに」石巻川開祭実行委員会・青木八州会長

 石巻川開き祭りは歴史と伝統を誇るお祭りで、1916(大正5)年に始まり、お祭りを愛する人の手により連綿と受け継がれ、今日まで育まれてきました。本年度の開催が100回目の記念大会となります。改めて感謝申し上げます。

 さて、今年の石巻川開き祭りは、祭りの原点である供養行事、市内中心部で行われるさまざまな陸上パレードや石巻大橋下流での孫兵衛船・ミニ孫兵衛船競漕、さらには、東北最大規模の豪華絢爛(けんらん)な花火大会を開北橋下流で行います。

 100回大会特別記念事業としては、七夕飾りがアイトピア通りに装飾され、藤巻亮太氏の記念ライブ、ブルーインパルスの展示飛行、東京ディズニーリゾート40周年スペシャルドローンショーが行われます。かわまち交流南広場の特設ステージでは、中部航空音楽隊による演奏やスパリゾートハワイアンズのフラガール&ファイヤーナイフダンスが披露される他、アニソン歌手によるライブを展開するなど、ご来場いただいた皆さまの心に深く刻まれるお祭りにしたいと思っております。

 結びとなりますが、非常に暑い中でのお祭りになりますので、熱中症対策でのこまめな水分補給と休息もお願い申し上げます。

石巻川開き祭りの歩み

1916年 経済界を中心に第1回開催 
  18  米騒動で中止 
  46  戦争での中断を経て再開。野球や卓球、仮装大会も 
  49  十数年ぶりに尺玉を打ち上げ。大漁唄い込みも 
  50  行事を一般募集。競輪、のど自慢など 
  55  ミス川開きを採用。59人が応募 
  60  チリ地震津波で被災 
      航空自衛隊松島基地の編隊飛行 
  62  開催日を8月1、2日に固定 
  63  市制30周年。記念行進曲「栄えよ石巻」披露 
  73  市制40周年。大漁踊り採用、500人参加 
  74  花火大会を開港した新漁港で開催 
  75  孫兵衛船競漕を採用 
      花火会場が開北橋下流に 
  76  北上川開港350年。七夕と仕掛け花火復活 
  78  宮城県沖地震で縮小 
      青年会議所が陸上部門のみ実施 
  83  ミス川開きが復活 
  86  第1回大漁唄い込み全国大会開催 
  93  第70回特別事業「音と光の競演・イブ・フェスティバル」開催 
      ミニ孫兵衛船競漕開始 
  98  大漁踊りを創作部門と正調部門に分けて実施 
      花火は尺玉が復活 
  99  開催日を8月第1土、日曜に設定 
2000  大漁YOSAKOI踊りやアクアカーニアバルを実施 
  02  80回。JR石巻駅前にお祭り広場を開放 
  06  8月1、2日開催に 
      ブルーインパルス展示飛行と縄張神社奉納「大縄引大会」を実施 
  10  南境トンネル開通で花火会場のアクセス改善 
      階段堤防席を新設 
  11  東日本大震災。規模を大幅に縮小し8月1日のみ開催 
  12  大漁踊りが復活 
  13  孫兵衛船競漕が再開 
  15  中心市街地の七夕飾りが復活 
  16  川村孫兵衛の北上川改修着手から400年 
      出身地の山口県萩市から関係者招待 
  19  東京ディズニーリゾートがパレード 
  20  新型コロナウイルス感染拡大で中止 
      祭典行事のみ実施 
  21  主要行事2年連続中止 
      小学生鼓笛隊パレードを動画配信 
  22  3年ぶり開催。花火会場を石巻大橋下流に変更 

<幾多の災禍乗り越え100回>

 第1回の石巻川開き祭りが開かれたのは1916(大正5)年。石巻市史などによると、鉄道開通などで発展の兆しを見せていた石巻では、名物行事創設の機運が高まっていた。経済界が中心となり、花火と流灯で水難事故の犠牲者を供養していた川施餓鬼を発展させる形で祭りは始まった。

 祭りの主題は北上川改修を指揮した川村孫兵衛(1575~1648年)への報恩だ。孫兵衛は河口に港を開き、寒村だった石巻を東国有数の港町に変えた。祭りは毎年、神社や墓所での祭典行事を執り行う。「孫兵衛船競漕(きょうそう)」や「大縄引き大会」など先人にちなんだ名物行事も定着する。

 祭りは戦時中の中断を経て、46年に再開。高度成長期を経て規模を広げ、73年に大漁踊り、75年に孫兵衛船競漕と主要行事が相次いでスタートした。時代に合った行事や開催日を模索しながら続き、93年に過去最高の人出57万9000人を記録。東日本大震災まで東北有数の規模を誇った花火大会には毎年、市内外から約20万人が詰めかけた。

 震災があった2011年は規模を大幅に縮小して開催。鎮魂の花火などを打ち上げた。復興の進展に合わせて主要行事なども復活。20、21年は新型コロナウイルスの影響で中止したが、昨年は3年ぶりに復活。災禍を幾度も乗り越え、祭りは100回の節目を迎えた。

北上川だけでなく近くの山からも花火が打ち上げられた1960年の祭り
第100回石巻川開き祭り

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