石巻市博物館・企画展「民具のデザイン図鑑」、20日まで 武蔵野美大生ら協力
学生ら、市内でフィールドワーク
石巻市博物館で開催中の企画展「民具のデザイン図鑑」に合わせ、展示に特別協力する武蔵野美術大の学生らが市内をフィールドワークし、廃棄物を使った作品制作に挑んでいる。成果は8日から、博物館がある同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で展示される。
制作するのは空間演出デザイン学科の学生や卒業生約15人。同大関係者らとつながりのある市内の産業廃棄物処理会社「重吉興業」が協力し、同社で扱う廃棄物を基に作品を作る。
参加者は5月に活動を開始。漁網などがうずたかく積まれた廃棄物の山を吟味し、作品に生かせそうな素材を集めた。参加者の一部は同社で廃棄物の分別作業にも従事し、ごみ処理への理解を深めた。
卒業生の茅野良宇さん(24)は「石巻らしさを感じられるものを作りたい」と意気込む。
本企画は「民具のその先へ」をテーマに据え、民具として歴史に残らない廃棄物の、価値ある作品への転用に挑戦する。山内ひろみ社長は「ごみとして扱っている物からアートが生まれるのは素晴らしい。完成が楽しみ」と話した。
学生らの作品展「民具のその先へ」は20日まで。
大学教授がトークセッション
企画展に合わせたトークセッションも石巻市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)であった。武蔵野美術大の加藤幸治、杉浦幸子両教授らが登壇し、それぞれの専門分野の視点で民俗資料の可能性を語った。
民俗学が専門の加藤教授は、民具を土地の暮らしに根付いた「ヴァナキュラー」なデザインと表現し、その魅力を語った。
ファインアート(純粋芸術)やポピュラーアート(大衆芸術)とは違う、芸術家ではない普通の人々が生活の中で生み出す造形に、「使用者の手が加わって形作られていく民具の面白さは、言葉では説明できない」と述べた。
ワークショップなど芸術に関わる場所や物を育む「こと」をデザインしている杉浦教授は、美術教育の機会の少なさから芸術が消滅することを危惧した。
子どものうちから「自分の人生にアートが存在する」と意識付けるため、新生児の誕生に合わせて民具をプレゼントするなど、人と芸術をつなぐ機会づくりを提案した。セッションは7月1日に行われた。
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企画展は20日まで。観覧料は一般600円、高校生400円、小中学生200円。開館時間は午前9時~午後5時(入館受け付けは午後4時半まで)。毎週月曜休館(当日が祝日の場合は翌日)。連絡先は市博物館0225(98)4831。
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