燃える夏、百花満開 石巻川開き祭り盛況 ドローンショーや藤巻亮太さんライブも
第100回石巻川開き祭り(実行委員会主催)2日目の5日、石巻市中心部では水陸と空を舞台に多彩な催しが繰り広げられた。呼び物の花火大会は東日本大震災前と同規模の約1万6000発が夜空を焦がした。節目の記念事業としてドローンショーや特別ライブも開催。市民が手作りした七夕飾りが目抜き通りを彩った。石巻で最高気温32・7度を記録する厳しい暑さの中、恒例の「孫兵衛船競漕(きょうそう)」や大縄引き大会もあり、市民や観光客で終日にぎわった。
花火大会は13年ぶりに震災前と同じ開北橋下流を会場にし、東北有数と言われた華やかな演出も復活した。
午後7時40分にスタート。川開き祭りが発祥とされる水中スターマインは陸上との同時打ち上げもあり、夜空と川面を光で染めた。尺玉など大型の花火も矢継ぎ早に上がった。
会場周辺は日中から混雑した。有料観覧席を設けた河川敷、無料観覧席に設定した堤防内陸側の市有地などは見物客であふれ、光と音の競演を楽しんだ。
花火大会に先立って、東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)が東京ディズニーランド開園40周年を記念したドローンショーを実施。700機のドローンが光を放ちながら上空を飛び回り、音楽に合わせてミッキーマウスら人気キャラクターのアニメーションを夜空に描き出した。
かわまち交流広場に設けたステージでは、アニメソング歌手のライブやスパリゾートハワイアンズ(いわき市)のパフォーマンスなどがあった。フラガールの優雅なフラダンスや炎を使ったファイヤーナイフダンスなどが観衆を魅了した。
観覧した石巻市渡波のパート従業員土田順子さん(40)は「小学生の頃に現地でフラガールを見て、自分もフラダンスを始めた。憧れの皆さんの素晴らしいダンスを間近で見られてうれしかったし刺激になった」と喜んだ。
最終日の6日は孫兵衛船競漕の準々決勝から決勝がある。震災前の定番だった「お化け屋敷」も復活。陸上パレードは小学校鼓笛隊を午前と午後の2部制で実施し、午後6時からの大漁踊りで祭りを締めくくる。
藤巻亮太さんの優しい歌声響く
ミュージシャン藤巻亮太さんの特別ライブが午後6時半過ぎから石巻市中瀬の中瀬公園で開かれた。ライブは藤巻さんが東日本大震災の発生直後からボランティアで訪れるなど、石巻地方に縁があったことで実現した。
自身がボーカルを務めるロックバンド「レミオロメン」(活動休止中)の代表曲「粉雪」「太陽の下」のほか、ソロ曲「まほろば」など8曲を披露した。
会場では多くの来場者が手拍子をしながら楽しんだ。藤巻さんは復興支援の経験から作ったという「光をあつめて」も熱唱した。
「石巻は産業や文化など魅力あふれる町。今後もみなさんの日常が素晴らしいものになってほしい」と願った。
七夕飾り、街を華やかに
ゆらりひらり。竹に結び付けられた46本の七夕飾りが、夏空のアイトピア通りを彩った。色とりどりの飾りは、球体部分にキャラクターの顔を描いたものや吹き流しに折り紙を貼り付けたものなど、どれも個性豊か。通りを歩く人たちは飾りを見上げたり、記念写真を撮ったりして、祭りを楽しんだ。
制作したのは市内外の学校や特別養護老人ホーム、金融機関、NPO法人など43団体。第100回の祭りを市民総参加で盛り上げようと、実行委員会が各団体に制作を依頼し、去年の約2倍の飾りが通りを飾った。石巻青年会議所が作り方動画を制作するなど、中心的な役割を担った。
制作に参加した石巻市蛇田小2年の西條圭吾君(7)は「ひらひらしていてきれい。丸い部分を作ったので、見つけたら写真を撮りたい」と飾りを見上げた。
七夕飾りは6日までアイトピア通りに飾られる。
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