避難支援アプリの実証試験 県、女川原発重大事故を想定 町民ら50人が参加
県は19日、東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故時に使う、スマートフォンの避難支援アプリの実証試験を登米市登米総合支所で実施した。女川町民や県、東北電の社員計50人が参加。車両の放射線量を測る「避難退域時検査場所」で、アプリの有無による通過時間の差などを確認した。
試験は宮城県沖の地震で女川2号機の原子炉が緊急停止し、冷却機能喪失による炉心損傷で放射性物質が放出したとの想定で行われた。原発から30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の避難者が通過する検査場所で、避難時間の短縮を目指した。
従来の試験では、放射線量の測定後、検査済み証とヨウ素剤の説明書を紙で配布していたが、今回からアプリ上で確認できるようになった。参加者はアプリを使うグループと使わないグループの二つに分かれ、必要な手続きの違いをそれぞれ確認した。
1時間ほど実施し、車10台が通過するまでに、アプリなしは14分49秒だったのに対し、使用すると8分52秒と、ヨウ素剤に関する説明を短くした分、4割の時間短縮につながった。ただ、住民の多くは県が用意したスマホを使用。高齢者へのスマホやアプリの普及方法など課題が残った。
女川町からは大原北区の住民12人が参加した。阿部清子さん(71)は「待ち時間が少ないのでアプリは楽。備えは大事なので使いこなせるようにする」と話した。
県は9月にアプリの運用を始める方針。視察した村井嘉浩知事は「避難者に対する説明が簡略化できれば、より迅速な行動ができる。アプリの改良を重ね、一人でも多くの人に使用してもらえるようにしたい」と語った。
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