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いしのまき食探見 > キクラゲ 際立つ食感、栄養も豊富

石巻市小渕浜で栽培されるキクラゲ。肉厚で食感もよく、リピーターも多い
ナムル(前列左)などさまざまな料理に生かすことができる

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

キクラゲ

 中華料理の炒め物や、春雨サラダなどに使用されることが多いキクラゲ。他を引き立たせる脇役になりがちだが、近年、菌類を食べて健康になろうという「菌活」ブームもあり、注目を集めている。

 石巻市小渕浜の阿部水産では、夏季に行っていたアナゴ漁の代わりで、町おこしの一環になればと、5年前から栽培に取り組む。栽培担当の阿部幸恵さんは「肉厚で栄養価が高く、美容にもいい食材」と魅力を教えてくれた。

 作業は幸恵さんと妹の明美さんが中心。家族が協力し合い、湿度などを管理した部屋で育てる。白と黒の2種類あり、しゃきしゃきした食感が際立つ。食物繊維やビタミンDなど栄養が豊富でリピーターも多い。

 食べ方はお湯で30秒ほど湯がき、冷水でしめてから刺し身で味わうのがベター。他には、キュウリ、もやし、めんつゆなどとあえる「ナムル」も毎日食べられ、免疫力アップにもつながるという。

 さらに、トウモロコシとバター、キクラゲを炒め、ご飯と混ぜたり、牛乳寒天に入れたりしてもアクセントになる。キクラゲが主役となる料理の多さに驚かされた。

 秋からはカキのシーズンのため出荷は9月まで。幸恵さんは「キクラゲの存在を広め、多くの人に牡鹿地区に来てほしい」と話す。漁師がつくるという話題性と確かな品質で年々、注目度が増している。石巻の新名物として歩みを進める姿をこれからも応援したい。
(大谷佳祐)

<メモ>
 阿部水産は「アラゲキクラゲ」を栽培し「金華キクラゲ」と名付けて販売。潮風を生かして作る乾燥キクラゲも人気。石巻市内では「いしのまき元気いちば」、小渕浜の「フジマル佐藤商店」、鮎川浜の「ホエールタウンおしか」などで購入できる。

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