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キャリア教育推進 石巻の小中学校、目標へ挑む意欲を喚起

自分と向き合い、将来に向けて決意を語る「立志の会」も生徒の意欲を高める=2023年3月、住吉中

 社会の変化が激しい中、自分らしい生き方を実現する力を育むため、キャリア教育が重視されている。石巻地方の教育現場では、生徒が多様な考えや生き方に触れる機会をつくり、目標を持って挑戦する意欲を喚起している。児童が係や担当といった日常的な活動で「役割」を果たすことで有用感を高め、社会で生きる基盤となる自己理解を深めている。

 急速な社会の変化や人口減少など大きな課題に直面する世の中で、文部科学省は一人一人の社会的・職業的自立の基盤となる能力や態度の育成を通して、自分らしい生き方の実現を促すキャリア教育を推進している。

 石巻市住吉中(生徒206人)は「夢に向かってたくましく生きる住中生」を教育目標に掲げ、生徒が人生を前向きに捉え、夢や目標を持って努力していくモチベーションを高める教育活動を展開している。

 東京住中会が主催する「先輩に学ぶ会」は2年に1回開催する。社会の第一線で活躍する先輩の体験談を聞いて、将来の職業選択や卒業後の進路について真剣に考え、自己実現への意欲を高める。

 同窓会が主体となり、毎年秋に「地域の方々の話を聞く会」も開く。各学年が興味のあるテーマについて地域の人材から示唆に富む話を聞き、生き方や進路を考えるヒントにする。

 杉山孝一校長は「生徒が多様な価値観に触れることで、進路を含めた生き方や人生に対する前向きな気持ちを育てたい」と言う。

 2年生を対象に職場体験も実施する。本年度も学校運営協議会と連携して取り組むことで、地域の教育力が向上する。「立志の会」も生徒の意欲を高める。

 扇谷正輝主幹教諭は「社会と接する機会が少ない子どもたちにとって、さまざまな生き方や価値観に触れることは重要だ。中学生は多感で成長が著しい。多様な視点に刺激を受け、自身の学びを深め、可能性を広げる努力を続けてほしい」と期待する。

 「縦割り班や係活動などの日常的な活動の中で自分の役割を果たすことはキャリア教育の一つ」と指摘するのは、同市石巻小(児童283人)の新井雅行校長だ。

 新井校長は「(学校という)社会の中で役割を果たすことで、子どもはできることを学んだり、存在感を認識したりして、自分らしい生き方を実現する力の土台が身に付いていく」と説く。

 社会の一員として生きる基盤となる能力として「小学校では自己理解が必要」と強調する。

 同校は「あいさつ・はたらく・あとしまつ」を合言葉とした「三つのすすんで運動」を推奨する。立ち止まってのあいさつや清掃、係活動、家での手伝い、整理整頓だ。将来の社会・家庭生活を見据え、欠かせない取り組みとなっている。

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