(690)いつしかに友でなくなり秋の風/辻田克巳(1931~2022年)
「友でなくなり」で意味を区切れば、友人との親交がだんだんと途絶えてしまったか、人柄を疑うような出来事があって疎遠になったのかもしれません。友情という温かな繋(つな)がりがフェードアウトしてしまった感傷に、冷ややかな秋風が通り過ぎていきます。あるいは一句を繋げて読めば、友でなくなったのは秋風です。幼…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。