ツール・ド・東北 出迎え感謝、ペダルに力 住民の笑顔に復興実感
石巻地方など東日本大震災の被災地をライダーが駆け抜けた17日のツール・ド・東北。被害の実態を知り、復興を応援するイベントは今年、節目の10回を迎えた。参加者は震災から12年半の歳月を感じながら、被災地へのエール、出迎えた住民への感謝を込めてペダルを踏んだ。
7回目の参加だった石巻市南境の教員松川幸浩さん(38)は「スタッフや地域の人の笑顔が良い。震災直後は頑張って笑顔を作っている感じだったが、最近は自然な笑顔になった。心の復興も進んでいると感じた」と話した。
宇都宮市の会社員の池田俊樹さん(42)は石巻市出身で、3回目の参加。「震災前と比べても道路が整備され便利になった。ただ、海沿いには空き家も多い。復興が行き届いていない場所もある」と語った。
「よくここまできれいになった」と驚いたのは、初めて参加した東京都の主婦仁科明美さん(68)。震災当時はテレビで被災地の状況を見ていた。「地元の皆さんが温かく『いってらっしゃい』と言ってくれる。ジーンときた」
2015年からエイドステーションや医療班のスタッフとして大会を支えてきた東京都の病院事務職員神藤薫さん(59)。今回は応援団として駆け付け、女川町の沿道で旗を振った。「震災をきっかけに東北が生活の一部になり、女川が大好きになった。応援しているつもりが、逆に元気をもらっている」と笑顔を見せた。
発着点の石巻専修大、多彩にライダー激励
ツール・ド・東北の発着点となった石巻専修大では、地元で活躍する3団体がステージに登壇し、ライダーにエールを送った。記念撮影用のパネルも用意され、完走したライダーが写真を撮って楽しんでいた。
石巻市を中心に活動するダンスチーム「SPARKLE」は、小学生から高校生までのメンバー約20人が出演。ヒップホップダンスを披露し、会場を盛り上げた。斎藤希羽(のわ)さん(16)は「高校では陸上部。スポーツの競技者同士、元気を届けようと思いを込めて踊った」と話した。
県内で活動する「さくらバトンクラブ宮城」の演舞や、石巻市広渕地区の伝統芸能「河南鹿嶋ばやし」の演奏もあった。
記念撮影用パネルには参加した思い出を残そうと多くのライダーが立ち寄った。宇都宮市の会社員吉田知美さん(52)は長女でダンサーの美麗(みらい)さん(25)と初参加し、女川・雄勝フォンドを完走。「登りが多く、負荷の程良いコースだった。参加することで経済的にも東北に貢献できれば」と語った。
会場では協賛社や地元飲食店などが計16ブースを設置。過去の大会を振り返る公式出展ブースや、石巻焼きそばやサバだしラーメンなど石巻のご当地グルメの出店もあった。
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