(694)職歴にやまひは書けず水の澄む/土井探花(1976年~)
就職活動の履歴書には職歴を書く欄があり、面接ではほぼ前職を辞めた理由を聞かれる。一部には健康状態を記入する様式もあり、病気を経験した人には悩ましい。秋の澄んだ水のように、正直に病のことを書ければ良いのだが、採用に影響があるのではと不安に思う。作者には<鳥渡る医院の窓はいつもきれい>の句もある。病気…
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- ・(693)颱風(たいふう)過ぽつんと畦に婆がゐる/橋場雅秋(1932年~)
- ・(692)をりとりてはらりとおもきすすきかな/飯田蛇笏(1885~1962年)
- ・(691)露の世に母の粥(かゆ)炊くうれしさよ/橋本榮治(1947年~)
- ・(690)いつしかに友でなくなり秋の風/辻田克巳(1931~2022年)
- ・(689)嵯峨菊のたとへば筆の穂のみだれ/一力五郎(1902~1947年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。