閉じる

全国学力テスト平均正答率 石巻・鹿又小、1位の石川県と同率 主体性重んじ快挙

算数の学び合いの授業で級友をサポートする時間が設定されている鹿又小。安心・安全な居場所づくりに直結している

 4月の本年度全国学力テストで、石巻市鹿又小は国語と算数の平均正答率が全国1位の石川県と同じだった。国語は72%。算数が67%。算数は昨年度から情報通信技術(ICT)を活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に進める授業を展開し、児童が主体的に学ぶ意欲を高めてきた成果が快挙に結び付いた。国語について、同校は「算数の指導の波及効果」と受け止める。

 小学校の全国学力テストは6年生が対象。鹿又小は国語、算数ともに石巻市、仙台市を除く宮城県、全国の平均を大きく超えた。算数は石巻市57%、宮城県58%、全国平均63%だった。

 鹿又小は、算数の教師主導の一斉授業を見直した。授業前半は「(単元の)一番大事な考え方を教える」形で進め、後半に学習内容を定着させる「適用問題」(20分間)と評価問題(5分間)を設定し、授業を全学年で実施する。

 目的は「子どもの学ぶ時間を確保し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に実施し、主体的・対話的で深い学びを具現する」(浦山正幸校長)こと。

 適用問題では(1)全員で時間内に課題を解決する(2)誰一人見捨てない、助け合うクラスにする(3)教えることが何より学びになる(4)分からないことは素直に聞く-を約束事として共有する。

 子どもは1人で問題を解いたり、グループで勉強したりと学び方を選択できる。適用問題は教科書の問題、ドリル問題、教師作成問題、タブレット端末専用のドリル問題の順で進める。

 学習の過程で「分からないから教えて」と友達に頼み、学び合える時間を十分に保障。学習が遅れている友達に考え方を教えて支援する「サポートタイム」を設定しているのも特長だ。

 浦山校長は「適用問題の20分は子どもが主体的に学べる。授業は落ち着き、いい人間関係ができ、学力も高まるはず」と話す。

 文部科学省は改訂した生徒指導の指針で(1)自己存在感の感受を促進する(2)共感的な人間関係を育成する(3)自己決定の場を提供する(4)安心・安全な「居場所づくり」に配慮する-といった四つの視点を生かした授業づくりを求める。

 鹿又小のスタイルはこうした4視点を生かした授業づくりに合致している。浦山校長は「生徒指導の最前線は授業。サポートは安心・安全な居場所づくりに直結している」と語る。

関連リンク

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ