(696)星がおちないおちないとおもう秋の宿/金子兜太(1919~2018年)
「秋の宿」は旅行先の宿でも、自分の家とも受け取っていいようです。風情のある宿場に休み、澄んだ夜空を見上げると満天の星が広がっていました。作者は光の強さや近さに落ちてきそうだと感じたのでしょうが、物理的にはあり得ず「星がおちない」と言い切っています。しかしそれは本当でしょうか? 美しい空を見続けるう…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。