(697)駅弁に輪ゴムがひとつ秋の山/山口昭男(1955年~)
電車の心地よい走行音と振動に身を任せていると、車窓に秋の山が見えてきた。この雄大な景色を眺めながら、そろそろお昼にしようと買ってきた駅弁を取り出す。蓋(ふた)にかかった輪ゴムを取ると、キノコや鮭(さけ)、イクラに栗もある。彩りも豊かに秋の味の季語が満載だ。輪ゴムを外す何げないしぐさが、非日常の旅が…
関連リンク
- ・(696)星がおちないおちないとおもう秋の宿/金子兜太(1919~2018年)
- ・(695)枝豆ヤ三寸飛ンデ口二入ル/正岡子規(1867~1902年)
- ・(694)職歴にやまひは書けず水の澄む/土井探花(1976年~)
- ・(693)颱風(たいふう)過ぽつんと畦に婆がゐる/橋場雅秋(1932年~)
- ・(692)をりとりてはらりとおもきすすきかな/飯田蛇笏(1885~1962年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。