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木彫家・高橋英吉に再び光 「石巻学」第8号で特集 戦場からの絵はがきも

木彫家・高橋英吉を特集した「石巻学」第8号

 石巻学プロジェクトによる地域誌「石巻学」第8号が発行され、石巻市湊地区生まれの不世出の木彫家・高橋英吉(1911~42年)に再び光を当てた特集が市民の関心を呼んでいる。

 英吉は旧制石巻中(現・石巻高)から東京美術学校(現・東京芸大)彫刻科に学び、研究科在学中の1936(昭和11)年「少女像」で第3回文展に入選。その後、代表作となる海の3部作(黒潮閑日、潮音、漁夫像)を制作した。

 41年9月、澄江さんとの間に長女幸子さんが生まれるが、1カ月後に召集され、太平洋戦争下の翌42年11月2日、ガダルカナル島で戦死した。将来を嘱望されながら31歳の若さで夢を絶たれた。

 特集は「生きている高橋英吉」をテーマにさまざまな視点からアプローチ。木彫家としての顔だけでなく英吉の人柄や家族愛に触れる一方、市民運動につながった英吉の魅力に迫る。

 石巻学プロジェクト代表の大島幹雄さんは「海と仏像」と題した小伝を執筆したのをはじめ「戦場からの絵はがき」では戦地から家族に送った絵はがきに込めた英吉の思いを探る。「こころの版画家高橋幸子」は父・英吉を80年以上も思い続けてきた一人娘についてつづったエッセーだ。

 市博物館学芸員の泉田邦彦さんによる「高橋英吉の手紙」は、澄江さんへの愛情があふれた手紙などを紹介している。

 天谷裕道さん(全国ソロモン会遺族相談員)の「高橋英吉のガ島戦」は、ガダルカナル島での英吉の足跡を追った本格的な戦記だ。

 英吉の顕彰を巡って1970~80年代に街中で起きた市民運動や、石膏(せっこう)像(笛吹く童子)との出合いなどの読み物も興味深い。市博物館作成の「高橋英吉作品一覧」は貴重な資料だ。

 大島さんは「英吉を知らない世代が増えている。巻頭の方にプロフィルや代表的な作品の写真を載せたのは、まず興味を持ってほしかったから。この本をきっかけに再び英吉ブームが来ればいい」と願う。

 定価1500円(+税)。A5判。216ページ。こぶし書房(東京)発売。

長女・幸子さん、父を語る 25日にイベント

 石巻の魅力を探る場づくりイベント「石巻学プラスワン」が25日午後6時半から、石巻市立町2丁目のラ・ストラーダで行われる。

 地域誌「石巻学」に連動したイベント。8回目の今回は「石巻学」第8号の特集「生きている高橋英吉」に登場する英吉の長女で版画家の高橋幸子さん=神奈川県逗子市=がビデオレターの形で出演、自身の近況や父・英吉について語る。案内人は石巻市出身で石巻学プロジェクト代表の大島幹雄さん=横浜市=。

 入場料は1500円。予約・問い合わせはラ・ストラーダ0225(94)9002。メールはinfo@la-strada.jp

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