空き家防ぐ 生前に契約する「死因贈与」、80代女性と成立 石巻の巻組、第1号
空き家を活用したシェアハウス事業などを展開する石巻市の巻組は、財産相続の契約を生前に交わす「死因贈与」を活用し、今年導入した制度で、第1号となる契約を市内の80代女性と結んだ。所有者の死後に住宅が放置されるのを未然に防ぎ、不動産の有効活用につなげる。
契約したのは市内にある築100年超の女性が暮らす住宅。女性の死後、住宅の所有権が巻組に移り、同社の事業に活用される。同社は女性の居住中から雑草除去や植木の剪定(せんてい)など維持管理を担う。
実家の処分で悩んでいた関東在住の女性の長男が昨年8月、同社に相談を持ちかけた。女性の暮らしに負担をかけないなどの条件を1年かけて協議し、今年8月17日に契約した。
賃貸借契約も合わせて締結。女性が老人ホームに入居するなどして長期不在になった場合にも、住宅を宿泊業などで活用する。
所有者の死後、生活の形跡が残ったままの住宅は、相続した遺族らが処分に困って放置してしまうケースが多く、住宅が劣化し、資産価値が下がることもある。所有者の生前に契約を済ませることで、空き家にせずに利活用できる。
契約を済ませた長男は「すっきりした。先祖の苦労の歴史や思い入れがある家なので、どこかに売るよりも世間の役に立ててもらう方がいい」と安堵(あんど)した。
同社が所有権を得た後の具体的な活用策は未定。担当者は「空き家の処分に困って後回しにすることで、さらに劣化させてしまう悪循環を見てきた。元の持ち主を後悔させないように有効活用していきたい」と語った。
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