(698)狼星をうかゞふ菊のあるじかな/宮沢賢治(1896~1933年)
天狼星(てんろうせい)は大犬座の「シリウス」のこと。とても明るい星なのでよく目立つ。現在では冬の季題として歳時記にも載っている。シリウスの語源はギリシャ語の「セイリオス」で「全てを焼き焦がす」の意味。さて、そんなシリウスを眺める菊師。菊らしい情感を乗り越えて、菊と天狼星が一直線に結び付けられていて…
関連リンク
- ・(697)駅弁に輪ゴムがひとつ秋の山/山口昭男(1955年~)
- ・(696)星がおちないおちないとおもう秋の宿/金子兜太(1919~2018年)
- ・(695)枝豆ヤ三寸飛ンデ口二入ル/正岡子規(1867~1902年)
- ・(694)職歴にやまひは書けず水の澄む/土井探花(1976年~)
- ・(693)颱風(たいふう)過ぽつんと畦に婆がゐる/橋場雅秋(1932年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。