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女川原発2号機再稼働、来年5月に延期 安全対策工事の完了時期見直し 東北電

再稼働時期の延期について説明する女川原発の阿部所長(左)ら

 東北電力は28日、来年2月に計画していた女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を来年5月に延期すると発表した。安全対策工事で必要になった追加工程の完了がずれ込み、工事完了時期を従来の今年11月から来年2月に見直した。再稼働の延期は6回目で、昨年3月に具体的な時期を示してからは初めて。

 安全対策工事の追加工程は、電線(ケーブル)管の火災防護対策。発電所内で火災が発生した場合に電線が損傷しないよう、電線管の周囲を耐火材で覆う。

 関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の2021年度の原子力規制検査で不備が発覚し、原子力規制委員会が全国の原発に対策を求めていた。東北電は昨年12月に実施を決めた。

 東北電は同日、工事計画変更届などを規制委に提出。立地自治体の県、女川町、石巻市、原発30キロ圏内の東松島市など5市町に報告した。工事完了と再稼働時期の見直しに伴い、営業運転再開も来年6月ごろにずれ込む見通し。

 東北電によると、主な安全対策工事は計画通りに進んでおり、現在の進捗(しんちょく)率は9割程度だという。石巻市役所で記者会見した女川原発の阿部正信所長は「工事は終盤に入っている。今後も安全確保を最優先に、地域の理解を得ながら進めていく」と語った。

 女川町の須田善明町長は「最新の知見や技術を収集するなど安全性向上の取り組みに努めるとともに、住民への分かりやすい情報提供を求めてきた。今後も工事の履行状況や検査の実施状況の確認を継続していく」とのコメントを発表。石巻市の斎藤正美市長は「工期ありきでなく安全を優先した取り組みを求めてきた。安全性のさらなる向上に努め、地域住民への説明責任を果たすよう求めていく」との談話を出した。

 東日本大震災で被災した2号機は13年12月、再稼働に向けた審査を規制委に申請。20年2月に基本設計を示した「原子炉設置変更」に合格し、21年12月に詳細設計に当たる「工事計画」、今年2月に運用ルールを定めた「保安規定」がそれぞれ認可された。

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