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女川原発訴訟 避難計画実効性判断へ 仙台高裁控訴審・進行協議で見通し

記者会見で控訴審の今後の見通しを語る原伸雄原告団長(左から2人目)ら

 東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)で重大事故が起きた場合の広域避難計画に実効性がないとして、石巻市民17人が東北電に再稼働差し止めを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が2日、仙台高裁であり、原告側は請求を棄却した仙台地裁判決の取り消しを、東北電側は控訴の棄却を求めた。審理後の進行協議で、高裁は避難計画の実効性の判断に踏み込む考えを示した。原告側が明らかにした。

 一審判決は「重大事故が起きる具体的危険性を原告側が立証していない」と差し止めの必要性を否定し、実効性の有無には言及しなかった。

 東京電力福島第1原発事故を受け、原発の安全対策は全5層で防ぐ「深層防護」の考え方に基づいており、避難計画は第5層に位置付けられる。原告側は各層が独立して機能することが不可欠な要素だとし「深層防護の徹底がない原発には具体的危険があると判断すべきだ」と訴えた。

 東北電は同日、「原告側は(重大事故の)具体的危険の存在を立証する必要があるが、控訴審でも何ら主張、立証していない」とコメントした。

 原告側によると、高裁は進行協議で、暫定的な考え方として、避難計画が合理的といえない場合は人格権侵害の具体的危険を認める余地があることを示唆した。

 記者会見した弁護団長の小野寺信一弁護士(仙台弁護士会)は「避難計画の中身を議論できる。遠回りしたが、ようやくたどり着いた」と語った。

 次回期日は来年1月31日。

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