閖上漁港 釣り客の駐車で水揚げに支障、トラブルも「マナー守って」 宮城・名取
釣りスポットとして人気の宮城県名取市の閖上漁港に「釣りレジャーは遠慮してという看板が設置された」との情報が、「読者とともに 特別報道室」に寄せられた。取材すると、釣り客のマナー違反が原因で、関係者が対応に頭を悩ませていたことも分かった。
漁船の作業時間 配慮求めて看板設置
「漁港は漁師さんの仕事場です」「トラブル防止の為(ため)、ご協力ください」
閖上漁港の陸こう(出入り口)2カ所に看板が現れたのは9月中旬から。現在は県と県漁協仙南支所が掲げ、年内に県の注意看板が2基設けられるという。
仙南支所閖上では、魚市場前に漁船が入港する際は釣り人に岸壁から離れるよう、職員が注意喚起に努めている。しかし9月11日、シラス漁船が水揚げで接岸しようとした際、さおを上げない年配男性と職員が口論になり、警察官を呼ぶ騒ぎとなった。
「漁師も釣り人の気持ちが分かるし、呼びかければ岸壁からよけてくれたのでこれまでは大ごとにならなかった」と支所の木村充芳課長代理。シラス漁やアカガイ漁の漁船が入港する午前8時~正午は「魚市場がある西側岸壁で釣りとレジャーは遠慮してほしい」と配慮を求めている。
コロナ禍のアウトドアブームで増加
新型コロナウイルス禍のアウトドアブームで閖上漁港も県内外の釣り客が増え始め、市場前の西側岸壁にも車を横付けする釣り人が増加。中にはビール缶を放置する人もおり、「係留ロープに引っかかった釣り針でけがをすることもしょっちゅうある」(漁師)という。
釣り人の反応はどうか。
仙台市太白区の男性(55)は「仙台塩釜も亘理荒浜も車を横付けできる場所がなく、ここは漁協のトイレもあってファミリーも多い。漁業を邪魔しないように気を付けているが…」。別の男性は「東日本大震災でいったん離れた人々が海に戻ってきたのはいいことなのに。モラルを守らないと規制が強化され、悲しむのは釣り人」と困惑顔だ。
釣りが禁止された訳ではないが、漁港を管理する県仙台地方振興事務所は「みだりに車を乗り入れるなど漁業の妨げになる恐れのある行為は県条例で禁止されている」と呼びかける。
(岩沼支局・高橋鉄男)
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