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バス車内の運転手名プレート、SNS中傷の材料に 「業務に支障」「掲示やめて」切なる訴え

 国土交通省の省令改正に伴い、今月1日からバスやタクシー車内での運転手の氏名掲示義務がなくなった。掲示を続けるバス事業者もあり、仙台市交通局の運転手から掲示の取りやめを求める声が「読者とともに 特別報道室」に寄せられた。交流サイト(SNS)で個人情報がさらされ、中傷も絶えない状況に「業務に支障が出る」と訴えは切実だ。市交通局は掲示廃止を模索するが、東北の他のバス事業者に取材すると対応が分かれた。

運転手の名前がたびたび登場し、中傷する内容も見られる投稿(写真の一部を加工しています)

「批判を恐れ、若手や女性が離職してしまう」

 「事故を起こしたくせに前と変わらず、荒い運転だった」「アナウンスも何言ってんのか分からない」

 市内のバス愛好家らが開設したとみられる無料通信アプリLINE(ライン)の交流機能「オープンチャット」の書き込みに、市交通局の運転手は「みんな高い意識でハンドルを握っているのに、中傷にさらされている」と憤る。

 交流機能にはバス関連の情報が投稿され、この運転手の実名も登場する。同僚は前職で別のバス会社にいたことが書かれたり、容姿を冷やかされたりしたという。

 市バスは運転手の氏名を書いたアクリル板を運転席の後ろ側に掲示する。運転手は「批判を恐れ、若手や女性が離職してしまう」と一刻も早い対応の必要性を指摘。別の運転手も「投稿内容にはうそもある。別人が運転手になりすました投稿もある」と困惑する。

 市交通局は投稿の実態を重く見て、氏名掲示を廃止する方針だ。担当者は「全466台のアクリル板を作り替えるには時間がかかる」と説明し、具体的な時期については明言を避けた。

 国交省の省令改正を受けた東北の主なバス事業者の対応は表の通り。既に掲示をやめた事業者もあれば、継続を決めた事業者もあった。中には対応を決めかねているケースもある。

氏名掲示を巡る東北の主なバス事業者の対応

今後も掲示するか? 判断は各社まちまち

 掲示を取りやめた庄内交通(山形県鶴岡市)の担当者は「運転手のプライバシーに配慮するための対応。事前の周知で不満などは寄せられていない」と明かす。

 検討の末、継続する判断をしたのは山交バス(山形市)。SNS上のトラブルは確認されていないと前置きした上で「お客さまを乗せた車両1台を守る運転手の責務、使命感を表す意味がある」(総務部)と意義を説く。(田柳暁)

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