(711)豊年や荷台に村を詰め込んで/北大路翼(1978年~)
金色の波が田んぼを覆うようになると、なんとなく今年の米の出来、不出来も聞こえてきます。この句の年は豊作のようです。脱穀した籾(もみ)を荷台に積んで、軽トラックが保管場所へと向かう途中でしょうか。「村」という比喩によって、稲作を生業(なりわい)とする地域の様子まで見えるようです。しかし村を詰め込んで…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。