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海外で活躍の画家・佐藤健太郎さん、地元石巻で作品展示 今月、画廊や祭りに出展

佐藤さんと河北美術展入賞作「起源」
地元作家の油絵や水彩画が並ぶ会場

 石巻市和渕の「鈴寛ギャラリー」で開かれている秋をテーマにした展示会に、石巻市前谷地出身で米国や中国など海外の芸術シーンで活躍する画家佐藤健太郎さん(33)が出展している。15日には地元の国指定名勝「斎藤氏庭園」である「新米ふるさとまつり」で、自身の作品の変遷をたどる個展を開く。

 佐藤さんは4歳で絵を学び始めた。地元の絵画教室に高校まで通い、多摩美術大に進学。日本画領域で博士前期課程を修了した。2019年から市内に構えたアトリエで制作活動をしている。

 作品の主題は「水」。以前は動物を中心に描いていたが、大学入学の年に地元を襲った東日本大震災を機に、水の持つ美しさと恐ろしさの二面性をテーマに据えるようになった。

 「今まで見てきた街の風景が震災で一変した。それでも沿岸部の方が『海の近くに戻りたい』と言うのを聞いて、水ってなんなんだろうと思った」と振り返る。

 「問いに目を背けず、考え続けることが地元を離れていた自分にできることなのでは」と、常に変容し、循環する水そのものの表現に挑む。

 鈴寛ギャラリーに出展しているのは第84回河北美術展の日本画の部で東北電力賞を受賞した「起源-景-」など2点。同作は粒子の粗い岩絵の具をキャンバスに垂れ流し、自然に現れた表情を作品に落とし込んだ。画材の真ちゅう粉がきらめき、水の崇高さを感じる作品になっている。

 佐藤さんは「人にとって必要不可欠でありながら時に猛威を振るう、この両面があるのが水。作品を通じ何かを感じてもらえたら」と話した。

 「起源」は15日のみ展示場所を斎藤氏庭園に移し、以後はギャラリーに戻して展示する予定。ふるさとまつりでの個展は午前9時45分~午後1時。会場では日本画体験教室も開く。

鈴寛ギャラリー、地元作家の作品展示 29日までの土日

 鈴寛ギャラリーの展示会は、石巻地方で活動する河北美術展入選者の作品など27点を展示する。土、日曜のみの開館で、29日まで。

 油彩、水彩画を中心に、陶芸や彫金作品も出展されている。紅葉を描いたものや落ち着いた色合いの作品など、秋らしい雰囲気が会場内に広がる。

 開館時間は土日の午前10時~午後4時半。入場無料。連絡先は館長の庄司憲二さん090(2026)1527。

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