(714)語りをるらし柘榴(ざくろ)の樹下の祖父と父/小林貴子(1959年~)
作者が見ている「柘榴の樹下」には誰がいるのか、三つの読みが考えられる。祖父と父が、語るともなく何か言葉を交わしている。または祖父は既に亡くなっており、父が幻の祖父と語り合っている。祖父と父の両者が亡くなっていて、作者は生前の親子を思い起こすように、彼らの対話を幻視している。生前父と子で交わした言葉…
関連リンク
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- ・(709)考へず深く睡(ねむ)らむ鉦叩(かねたたき)/黒田杏子(1938~2023年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。