(719)誰からもいま構われず 芒原/伊丹三樹彦(1920~2019年)
抽象的な描写と季語の取り合わせです。「誰からもいま構われず」は具体的な状況を表していません。教室にいながら誰とも話さない私、兄弟や家族といてふと無視される瞬間、入院中の孤独、雑踏の中の迷子のような気持ち。私の経験から思いつくまま書きましたが、どれも当てはまりますし、読む方それぞれ思うものがあるでし…
関連リンク
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- ・(715)赤い月にんげんしろき足そらす/富澤赤黄男(1902~1962年)
- ・(714)語りをるらし柘榴(ざくろ)の樹下の祖父と父/小林貴子(1959年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。