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考え議論する道徳 違う意見を尊重、聞く力育む 石巻・鹿又小

探究の対話を取り入れた道徳の授業で「自立」をテーマに学び合う6年生

 石巻市鹿又小(児童307人)は、全学年で「考え、議論する道徳」の授業を展開している。教科書を使って教える従来のスタイルから脱却し、新しい授業の手法として「探究の対話(p4c)」を前年度から導入。互いの人格を尊重し合う授業の中で、主体的に考え、学びを深める探究心や異なる意見を大切にする姿勢、聞く力が育まれている。

 探究の対話は、問い(物事)に対し、自分事として多面的・多角的に深く、広く考える手法。(1)友達を傷つけることを言わない(2)考えが浮かばない、話をしたくない時はパス-といったルールがあり、浦山正幸校長は「子どもたちは安心して意見が言える」と言う。

 6年1組(26人)では4日、「自立」をテーマに道徳の授業を実施した。担任教諭が進行役を務め、子どもたちが円座になって意見を述べ合った。

 まず自立について一人一人が抱くイメージを発表。「自分で判断」「働く」「親の手を借りない」…。ボールを持った人だけが話せるルールがあり、聞きたい人にボールを投げると話がつながっていく。

 「自立に必要なことは」。ボールを受け取った児童は「お金を稼ぐ、お金を管理する能力、コミュニケーション力」と述べた。「ご飯が作れて家事ができる」と答えた子どもも。

 夫婦の自立を巡り「家事、育児の全てをパートナーに任せきりは自立しているとは言えない」という意見もあった。

 授業後、探究の対話について、永野心深さん(12)は「異なる意見を聞いて、質問して、自分の考えを深めることができて楽しい」と話した。

 浦山校長は「みんなで考え、多様性を尊重する授業で、子どもたちは自立を自分事として捉え、将来をイメージしながら学び合っていた」と評価した。

 2018年度に教科化された小学校の道徳(年間35時間)の授業は、教科書中心のスタイルを踏襲する学校が県内でも多い。

 鹿又小は問いに対して答えがすぐ分かるような授業では子どもが思考停止状態になり、学習指導要領が求める主体的、対話的で深い学びにはつながらないとして、探究の対話の手法を取り入れた。

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