(720)鈍行てふ時間授かり豊の秋/大石誠(1937年~)
企業人として忙しく働いていた作者は、退職を機に俳句を始めた。「足元に咲く小さな花にも鳥にも、見上げる空の移ろいにも感動を覚えました」と句集あとがきにある。俳句を詠もうとすることによって、今まで気に留めなかったものが呼び覚まされ、心に響いてくるのだろう。現役のときは時間に追われて上の空だったが、今は…
関連リンク
- ・(719)誰からもいま構われず 芒原/伊丹三樹彦(1920~2019年)
- ・(718)地は秋のゆふべの露を昇らしむ/眞島楓葉子(1933~1967年)
- ・(717)山中に貝の化石やいわし雲/太田土男(1937年~)
- ・(716)宵闇や手を泳がせて子が走り/山西雅子(1960年~)
- ・(715)赤い月にんげんしろき足そらす/富澤赤黄男(1902~1962年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。