生きる勇気感じて 石巻出身の庄司監督、映画「さよなら ほやマン」PR 来月公開
石巻市出身の庄司輝秋監督(43)が手がけた初の長編映画「さよなら ほやマン」が11月3日、同市のイオンシネマ石巻や仙台市のフォーラム仙台など全国で公開される。キャンペーンで仙台を訪れた庄司監督は「血が通った映画になったと思う。映画を見た人に、諦めずにもがいて生きる勇気や希望を感じてもらえたら、うれしい」と話した。
石巻市の離島が舞台。東日本大震災の津波で両親が行方不明になった兄弟と、東京から来た女性漫画家との奇妙な共同生活を描いた。島の自然や暮らしぶりも色濃くにじませた。
純粋で心根の優しい兄弟と訳ありの漫画家は、騒動続きの日々の中で心を通わせていく。本音でぶつかり合う3人は、次第に目を背けていた震災の悲劇や自らの心の奥底と向き合うようになり、再生していく。
自分を縛り付けていた環境や固定観念などから解放され、生きる道を見いだしていく人間群像を圧倒的な熱量で表現した。
ラップとギターの2人組「MOROHA」のアフロさんが、兄で漁師の阿部アキラ役を熱演。NHK連続テレビ小説「ブギウギ」でヒロインの弟役に抜てきされた黒崎煌代さんが、障害のある弟のシゲル役を好演した。屈折した漫画家の高橋美晴役は呉城久美さんが演じた。3人の息の合った演技も見どころだ。1時間46分。
昨秋に出演者やスタッフが同市の網地島に泊まり込み、約3週間にわたって撮影。庄司監督は「初の長編だったが、映画を製作する幸せを感じた。奇跡的なエネルギーに満ちていた」と満足げに振り返る。
自らが、せりふを吹き込んだ音源を出演者に渡して方言指導もした。網地島の住民もエキストラで多数出演し、島で暮らす臨場感を醸し出している。
庄司監督は脚本も担当。石巻の実家に戻った際にホヤがあり、生態を調べていたら映画の着想が浮かんできたという。「映画の中ではホヤを人の生き方や生命などのメタファー(隠喩)として描いた」と説明する。
「人は誰しも自分では選べないことだらけの人生を送っている。その中で何かを諦めてしまいそうになったときに、この映画が人生の輝きを取り戻すきっかけになればと思う」と語る。
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庄司監督は11月4日午後0時10~40分、石巻市のイオンシネマ石巻で舞台あいさつする。アフロさん、黒崎さん、呉城さんらも登壇する。
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