いしのまき食探見 > 原木シイタケ 味、風味良し 万能の食材
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
原木シイタケ
秋の味覚と言えば? 味良し、風味良しで、主役にも陰の立役者にもなる万能食材のシイタケがある。石巻市飯野では自然な栽培に近い「原木シイタケ」が旬を迎えている。
原木シイタケは人工的な苗床で育てる「菌床シイタケ」と違い、クヌギなどの広葉樹の原木を使って育てる。木の仕込みから収穫までは半年以上かかる。
7年前に原木シイタケの栽培を始めた河北茶生産加工組合の佐藤真章組合長(61)を訪ねた。「形も味も良い、昔ながらのシイタケを届けたい」と原木4500本を一本一本丁寧に育てている。
仕込みは2月に始まる。おが粉にシイタケの菌を培養した「おが菌」を原木に打ち込み、菌を浸透させる。9月には収穫準備のため原木を水中に半日沈め、菌を窒息させて刺激を与える。佐藤さんは「少しかわいそうだ」と苦笑い。水から引き上げ、約10日で立派なシイタケに育つ。
収穫までじっくり時間と手間をかけて成長させるため、菌床栽培より肉厚で風味も強いという。
佐藤さんのお勧めの食べ方は網焼き。「洗わずに網の上でさっと焼く。全体に温度が行き渡れば食べ頃」。シンプルに塩こしょうと少量のしょうゆで味わう。捨ててしまいがちな軸は一口大に切ってカレーに入れると、歯応えがあり鶏肉のようになるという。
冷凍保存も可能。凍らせることで栄養価が高くなる。煮物にするとシイタケの濃厚なだしが染み出す。
(相沢春花)
<メモ>
佐藤さんが栽培した原木シイタケは石巻市小船越の道の駅「上品の郷」や、同市中里5丁目のいしのまき農協の直売所「ふれあいいちば菜花」で販売中。出荷期間は10月から4月ごろまで。価格は100グラム約250円で、パックや袋詰めで販売されている。
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