コロナ5類移行半年、再起する拠点(上) 石巻市複合文化施設 既存設備、人材活用に注力
新型コロナウイルスが「5類」に移行してから、8日で半年がたつ。感染拡大前の状況を取り戻す業界がある一方で、依然として影響が残る産業も多い。入場者や利用者の減少に悩まされてきた石巻市内の文化施設に、コロナ禍や5類移行後の動きを聞いた。(西舘国絵)
石巻市複合文化施設
■自主事業で集客
感染拡大のさなか、2021年4月に開館した同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)。興業需要が見込めない苦しい状況でスタートを切ったが、ミニコンサートなどの自主事業を多数展開し集客に注力した。同年11月には施設内に市博物館もオープンし、市民にも徐々に定着している。
施設を管理する市芸術文化振興財団の越後雄太さんは「催しに人が全く集まらないこともあったが、移行後は間違いなく人出が増えている」と実感を語る。
■利用者は3割増
年度上半期(4~9月)の施設全体の利用者数は、21年度の5万3436人に対し、22年度は7万1397人で33・6%増加。21年11月開館の博物館利用者を除いた場合でも6万4442人で20・5%増えた。
23年度は7万3378人で22年度比では微増だが、越後さんは「数字に反映されない、ふらっと立ち寄る来館者が増えた」と言う。施設内にはカフェや座って休めるロビーがあり、憩いの場としてイベント目的以外にも足を運ぶ市民が増えた。
大ホールや研修室などの貸室は、23年度上半期で1645件の貸切利用があった。21年度比では約5割増。音楽やダンスを楽しむ市民サークルなどの文化活動だけでなく、市内外の企業による研修や会議での利用も増えた。
5類移行に伴い、カフェスペースに限定していた館内飲食をホールを除く全体で解禁した。グルメ中心のイベントが開きやすくなり、キッチンカーを呼んだ催事の会場にも選ばれるようになった。
■人気企画は継続
財団は今後、既存設備を生かした企画に力を入れる。23日には米スタインウェイ社製グランドピアノなど所有するピアノ3台の弾き比べ体験会を初めて実施(募集終了)。施設の裏側を探検する人気企画のバックステージツアーも継続して開催する。
越後さんは「もっと利用者数が伸びてほしい。有名な人を呼ぶよりも、ジャンルを問わず既にある物、地域にいる人を生かして人を呼び込みたい」と意気込む。
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