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石巻市総合防災訓練 大津波想定し避難を実践 地域と学校の連携、再確認

地域の中学生(右)も避難所運営に協力した=石巻市釜小

 石巻市は5日、本年度の総合防災訓練を市内全域で実施した。初めて市内全小中学校と市桜坂高を登校日とし、児童生徒を含め多くの市民が参加した。最大級の津波浸水想定を踏まえて市が地域防災計画や津波ハザードマップを見直してから初の訓練で、東日本大震災を教訓に災害時の避難行動や地域と学校の連携などを再確認した。

 訓練は午前8時半に最大震度6強の地震が発生し、大津波警報と対象区域への避難指示が発令されたと想定した。

 防災行政無線での呼びかけなどを合図に、市民らは自宅などで頭と体を守る動作をする「シェイクアウト訓練」に臨み、浸水の危険がない高台や学校など28カ所に開設された避難所などを目指した。各地域では自主防災組織や町内会、学校が中心となり、避難所開設や炊き出しといった自主訓練にも取り組んだ。

 釜小では、上大二町内会自主防災会や同小、青葉中が連携し、避難所の設営や運営を確認した。将来的な受け付け登録のデジタル化を見据え、市と協力してスマートフォンを活用した実証実験も行った。避難所運営には青葉中生約30人も携わり、身を寄せた住民約100人への物資配布や炊き出しのおにぎり作りなどを担った。

 ともに築山1丁目から歩いて避難した近藤とよ子さん(80)と熊谷洋子さん(76)は「学校まで10分以上かかった。夜間の場合はさらに時間がかかるだろうし、足腰が弱くなっているので不安もある」と話した。

 自主防災会の赤間彰会長(70)は「高齢者や震災後の転入者も多い。次世代の担い手を育てるとともに、希薄になった地域の関わりを深めることが必要だ」と訓練の意義を語った。

 訓練を視察した斎藤正美市長は6日の定例記者会見で「最大被災地として、全小中学校が参加したことにも大きな意味がある。訓練を積み重ねていくことが重要だ」と述べた。

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