石巻出身の金属造形作家・伊藤嘉英さん、新作を市に寄贈 遊楽館で公開 「どんどん触って」
石巻市出身の金属造形作家伊藤嘉英さん(54)=東京都=が7日、造形作品「メタルワールド」を市に寄贈した。子どもたちの好奇心を刺激しようと作った新作は同市北村の市遊楽館に設置された。斬新さと親しみやすさのある作風で、玄関そばの一画に味わいをもたらしている。
作品は丸みを帯びた七つの鍛造物からなり、それぞれステンレスや鉄、銅、真ちゅうなど異なる素材で制作した。金属の質感や、継ぎ目が見えないよう鍛金した造形の妙を触ったり乗ったりして楽しめる。
寄贈式が現地であり、関係者約20人が作品の完成を祝った。伊藤さんは「子どもたちはいろんな金属が1カ所に集まっているところを見たことがないと思う。どんどん触って刺激を受けてほしい」と話した。
伊藤さんは石巻高卒。東京芸大工芸科で鍛金を専攻し、同大学院美術研究科を修了した。特殊金属造形研究所を立ち上げ、公園やテーマパークの遊具制作に携わっている。
2013年には高さ約9メートルの金属製人体像「輝く人」で美術展覧会「神戸ビエンナーレ」の審査員特別賞を受賞した。作品は石巻市民有志の働きかけで同年12月、同市中瀬の中瀬公園に移設され、東日本大震災からの復興の象徴として約1年2カ月にわたり市民に親しまれた。
今回も「輝く人」やその縮小版を寄贈する案もあったが、耐久性などの面で恒久設置に向かないことや、伊藤さんの「子どもたちが夢を持てる作品を」との思いから、新作の制作に至った。
寄贈は「輝く人」移設に向け発足した市民団体「アートプロジェクト石巻」が中心となって進めた。団体は今回を機に解散する。阿部和夫代表(85)は「古里をこよなく愛する伊藤さんの今後の活躍に期待したい」と語った。
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