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コロナ5類移行半年、再起する拠点(下) 石ノ森萬画館 ムード一転、にぎわい戻る

大盛況だった3日のイベント

 新型コロナウイルスが「5類」に移行してから感染拡大前の状況を取り戻す業界がある一方で、依然として影響が残る産業も多い。入場者や利用者の減少に悩まされてきた石巻市内の文化施設に、コロナ禍や5類移行後の動きを聞いた。

石ノ森萬画館

■市民動向変わる

 「雰囲気がぜんぜん違う。コロナ禍以前のようだ」。石巻市中瀬の石ノ森萬画館スタッフは5類移行後の来館者の様子を「『感染するなんてありえない』というムード」と表現した。新型コロナウイルスを巡る規制の緩和が、市民の動向を大きく変えた。

 3日に開いたイベントは多くの家族連れでにぎわった。開催中の企画展に合わせたキャラクターとの撮影会には長蛇の列ができた。県外からの来場者も多く、全国的な人の動きの活発化が波及している。

 同館は感染拡大が始まった2020年3月初旬から5月末まで臨時休館を余儀なくされた。再開後も感染が広がるごとに客足は遠のき、チケット購入者が1日に20人程度しかいないこともあった。運営する「街づくりまんぼう」の高橋智之さんは「文化は日常生活に直結しないもの。社会の優先度は低かった」と苦境を振り返る。

■来館着実に回復

 現在は平日で150人、土日で600人ほどが来館する。本年度上半期(4~9月)は約8万6000人が入館し、21年度同期比で約4万3000人(50.0%)増、22年度同期比で約1万8400人(27.2%)増と着実に回復。本年度全体では15万人前後を見込み、17万人台で推移していたコロナ禍前の水準を取り戻しつつある。

 入館者数は展示するコンテンツ自体の集客力や季節、天候など複合的な要素に影響される。特別企画展「平成仮面ライダー20展」が開かれた19年度は4~6月の歴代最高総入館者数を記録し、上半期だけで16万人を動員した。

■他施設と連携も

 5類移行を追い風に、同館は中心市街地や他施設と連携した企画でさらなる集客を図る。7~9月の「超時空要塞マクロス展」では、作品とコラボしたメニューを近隣の飲食店で提供。今年10月にはマンガをテーマにした施設がある登米、遠野、横手を含む東北4市で実施する「みちのくマンガロードスタンプラリー」を4年ぶりに再開した(今月23日まで)。

 高橋さんは「石巻の中心市街地の活性化がわれわれのミッション」と、停滞からの脱却に意気込む。

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