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女川・出島架橋中央部架設 離島と本土つながる 悲願のアーチ、来年12月開通へ

中央部分のアーチ橋が架けられた出島架橋=16日午前10時ごろ
大型のクレーン船で海上輸送される中央部分のアーチ橋=16日午前6時30分ごろ
工事のライブ映像を見守る町民ら=女川町生涯学習センターホール

 女川町の離島・出島と本土を結ぶ「出島架橋」(全長364メートル)の建設作業が進み、最後の部材となる中央部分のアーチ橋が16日、架設された。正午ごろに接続を終え、本土と出島が目に見える形でつながった。

 アーチ橋中央部は長さ245メートル、重さ2500トン。同町石浜地区で15日に大型クレーン船「海翔(かいしょう)」でつり上げ、現場近くの沖合で停泊。16日は午前6時ごろに海上輸送を再開し、両岸に通じる橋桁につなげた。

 橋の接続は天候や海の状況から延期が続き、約1カ月遅れで終了。総事業費は約170億円、2017年に本体工事に着手した。架設後は町道の舗装や道路標示板、強風時などの際に使用する通行止めのゲートなどを取り付け、24年12月の開通を目指す。

 女川町は1979年から国や県に整備を求めてきた。本土側の建設現場で架設の様子を確認した須田善明町長は「事故なく終えられてほっとしている。島に橋がかかる風景を見るだけでこれまでの思いが込み上げてきた」と語った。

 1年後の開通に向け「島の景観や歴史、文化を損なわないような盛り上げ方をしたい。町民と共に準備していく」と意気込んだ。

 橋の接続は町の悲願。現在、出島へのアクセスは1日3便の航路のみ。架橋ができることで、町中心部から車で15分ほどで行けるようになり、観光振興や災害時の避難道路としての活用が期待される。二つの行政区からなる島の人口は10月末時点で92人。

 出島にある寺間地区の行政区長須田菊男さん(74)は「開通が待ち遠しいというのが素直な気持ち。車を持っている人も多くいるので、買い物や病院に行くなど普段の生活から変化が生まれ、町民同士の行き来も増えるだろう」と喜んだ。

PVで生中継、町民見守る

 女川町の離島・出島と本土を結ぶ出島架橋中央部の設置作業が16日にあり、町は町生涯学習センターホールで、工事の映像をリアルタイムで大型スクリーンに映す「パブリックビューイング(PV)」を実施した。町民や小中学生、元島民らが長年の悲願がかなう瞬間を目に焼き付けた。

 映像は動画投稿サイト「ユーチューブ」で生配信。午前8時ごろから配信が始まり、会場では約300人が歴史的瞬間を見守った。

 東日本大震災で出島の寺間地区にあった自宅が全壊した同町桜ケ丘の阿部金一さん(83)は、妻ミツ子さん(78)と感慨深げにモニターを見つめた。

 長年、漁師として離島の漁業に関わる金一さんは「ワカメやホヤの養殖以外にもアワビ、ウニも捕れる。車での行き来が可能になれば水産業がより盛んになる」と話した。

 ミツ子さんは20代のころに、現在の石巻市桃生町から嫁いだ。「橋がかかるという夢がやっとかなう。町の若い世代が頑張り、出島を盛り上げていってほしい」と笑顔を見せた。

 女川小・中の全児童生徒も見学した。小学6年の阿部希望(のぞみ)さん(11)は「橋の大きさに圧倒された。出島は行ったことがないので、通れるようになったら行ってみたい」と語った。

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