石巻第九、復活 110人歌声高らか 震災後初 来秋も開催「出演したい舞台に」
石巻市民らによる合唱団がベートーベンの交響曲第9番(第九)を歌い、東日本大震災からの復興を発信する第1回「石巻第九~復活の第九~」が26日、同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)であった。市民合唱団による第九は2011年2月以来約12年ぶりに披露され、会場ホールいっぱいに歌声を響かせた。
関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者の藤岡幸夫さんがタクトを振り、約70人のオーケストラの演奏で始まった。第4楽章では一般市民ら約110人が演奏に合わせ、高らかに歌声を披露した。ソリストはいずれも同市出身の三浦梓さん(ソプラノ)、阿部奈緒さん(アルト)、渡辺公威さん(テノール)、同市在住の千葉昌哉さん(バリトン)が務めた。
会場は約900人の観客でほぼ満席となり、演奏後は多くの人が立ち上がって拍手を送った。同市築山の主婦遠藤米子さん(72)は「義理の娘と孫が出ていたので見に来た。めったに聴けない素晴らしい音楽だった」と話した。
市民合唱団による第九は1市6町の合併を祝い、05年に披露された。建て替えが決まっていた旧市民会館が会場となった合併5周年記念の11年2月を最後に、開かれてこなかった。21年4月に市複合文化施設が開館。復興支援を続けるエクステリア業林田順平商店(堺市)などでつくる実行委員会が昨年11月に結団式を開き、1年間練習を重ねてきた。
楽団には市民らと関西などから招いたプロの演奏家がそろった。05、11年に続いて参加した足立岳志さん(63)はビオラを演奏。「震災や新型コロナの影響があったがようやく以前のように文化活動ができるようになり、プロとのレベルの高い演奏は楽しかった。第九は特別な時にしか演奏しない曲。新しいホールで演奏できて良かった」と感慨深そうに語った。
石巻第九は来年11月24日にも開催予定で、団員を募集している。林田元宏実行委員長(62)は「これから5回、10回と続け、親子の思い出づくりや特別な体験にしてもらいたい。歌いたい、出演したいと思われる演奏会にしていきたい」と話した。
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