「アロハ」の精神で撮影 自然写真家の高砂さん、故郷・石巻でトーク
石巻市出身の自然写真家高砂淳二さん(61)=東京都=のトークイベント「地球と出会う旅」が16日、同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)大ホールであった。多くの市民が参加し、38年間、地球をフィールドに生きものや自然を撮影してきた高砂さんの写真家人生に関心を寄せていた。
トークは高砂さんが撮影してきた写真をスクリーンに映しながら行われた。渡波で生まれ育った高砂さんは「体全部が海でできている感じ」と話し、オーストラリアでのエメラルドグリーンの海との出合いに始まり大地、虹、空と撮影対象が広がったことを説明。
中でもハワイの先住民との出会いが自然写真家としての高砂さんの生き方に大きな影響を与えた。「一生かけて『アロハ』を学ぶこと。アロハの意味は『愛』。何をするにしてもアロハの精神が一番大事だと諭された」と強調。
■相手と気を合わす
生きものを撮影する時もアロハの精神で臨み「相手と気を合わす。自然に溶け込む。すると向こうも安心しきる。いい関係性が生まれる」と語った。
東日本大震災で変わり果てた故郷の風景に「海とどう付き合っていいのか分からなくなった」と明かした上で「地球との接し方を見つめ直した結果、写真集『ディア・アース』に結実した。愛情を込めて撮った地球は美しかった」と感慨深げだった。
一方で地球温暖化やプラスチックごみ問題による生きものや自然への悪影響を指摘。写真を通して自然との共生を唱えてきた高砂さんは「地球が悲鳴を上げている。ヒトは(地球という家族の中で)長男。正しい状態に戻す役目を負っている」と訴えた。
スクリーンにハワイで撮影した夜の虹(ナイトレインボー)、愛らしい表情のペンギンやアザラシ、自然写真の最高峰と言われるコンテストの自然芸術部門で最優秀賞を受賞した「ヘブンリー フラミンゴズ」(南米ボリビアの標高3700メートルにあるウユニ塩湖で撮影)などが映し出されると客席から歓声が上がった。
茨城県東海村から足を運んだ主婦伊藤はるみさん(53)は「高砂さんの写真家人生にとても感動した。人と自然、生きものが調和し共存していくことの大切さを教えられた」と語った。
■市博物館で開催中
トークは市博物館(まきあーと内)企画展示室で開催中の「高砂淳二写真展 地球と出会う旅」関連イベントとして行われた。
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