「金華さば」不漁続く 石巻魚市場、「シーズン到来」宣言できず
秋以降、石巻市の石巻魚市場に水揚げされる大型で脂の乗ったマサバ「金華さば」の不漁が続いている。例年10~11月にある「シーズン到来」宣言も見送られており、最も遅くなった昨年12月2日を過ぎても宣言ができていない。水揚げ量が少なく、サイズも100~300グラム台の小型が目立つ。旬は翌年2月上旬ごろに終わるだけに、関係者は危機感を募らせる。
20日は午前9時45分ごろに、巻き網運搬船「31日東丸」(325トン)が日立・鹿島沖で漁獲した30トンを水揚げ。その後も「第26惣宝丸」(375トン)や「22寿和丸」(365トン)など5隻が入港し、計380トンを水揚げした。
金華さばは鮮度が良く、脂質15%以上という基準を満たしたものが選ばれ、重さも500グラム前後が目安。この日もトロール船を含めて、サイズや脂の乗りを確認したが、基準に達するものがなく宣言を見送った。
サバ巻き網漁の水揚げは近年、海水温が高く、東北周辺で漁場が形成されないことなどから減少傾向にある。石巻魚市場では、2018年は約3万2500トンだったが、昨年は1万500トン、今年は11月末まででわずか3000トンにとどまっている。
シーズン到来の見通しが立たない状況に、水産加工会社も気をもんでいる。金華さばの切り身販売などを行っている盛信冷凍庫(石巻市魚町1丁目)の臼井泰仁常務は「通常はサバでぎっしりの保管庫が空で、電気代だけがかかっている。小型サイズの販売を続けながら大型の到来に期待するしかない」と話した。
金華さばは年間30億円以上を売り上げる石巻魚市場の主力魚種。魚市場の佐々木茂樹社長は「缶詰を造る会社で製造がストップするなど、石巻に与える影響が大きい。一日でも早く宣言できる日が来てほしい」と願った。
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