(781)パセリ水揚げて歳暮の波となる/蓬田紀枝子(1930年~)
パセリの羽状複葉が水を揚げて、生き生きと蘇(よみがえ)っている。ニンジンのような華やかな紅ではなく、純粋に緑一筋に生きるパセリ。他方、人間の側は単なる「年の暮(くれ)」ではなく「歳暮」。人の世の義理人情のやりとりの少し古めかしい習慣を含んだ年の瀬である。そんな年末を生きる人間と、ひたすらに生きよう…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。