2023ニュース回顧 取材ノートから > 石巻市の復興財源事業、終了 新たな街の骨格が形に
<「完結」式典に疑問の声>
新しい街の骨格がようやく出来上がった気がした。石巻市が東日本大震災の復興事業で整備した都市計画道路「釜大街道線」と「石巻工業港運河線」が3月31日、開通した。冠水対策で新設した排水ポンプ場11カ所もこの日までに全てが稼働し、国の復興財源を活用した市のハード整備事業が終わった。
釜大街道線と石巻工業港運河線は津波で被災した大街道地区を東西、南北に走る新たな幹線道路で、災害時には避難道路として活用される。震災の地盤沈下で市内は何度も冠水被害に見舞われており、排水ポンプ場も早期稼働が待望されていた。
市はそれを復興ハード事業の「完結」と表現した。
完結ってどういう意味だろう。市議会2月定例会の施政方針演説で初めて聞いた時、言葉の意味が飲み込めなかった。道路やポンプ場は確かに完成するが、まだまだ先の長い事業もあったはず。
市の担当者に聞いて分かった。復興交付金や社会資本整備総合交付金の復興枠など国の復興財源を活用した事業の完了を受け、そう位置付けたらしい。
一方で、他の財源で整備する「七窪蛇田線」や「東中瀬橋」、「中瀬公園」などの完成予定はまだ1~3年先。さらには、被災したインフラの災害復旧事業すらまだ終わっていない。
それはハード整備の「完結」と言えるのだろうか。市民感覚に予算の出どころは関係ない。市が言う「完結」の意味するところや、一般財源の復興関連工事はまだ続くことを記事にした。
自分の考えが甘かったと気付いたのは9カ月後だった。市が11月に開いた「復興事業完結記念イベント」に対し、市民から疑問の声が上がった。全戸配布したチラシに「祝」の字を打つなど祝賀ムードが強かったこともあり「復興は終わっていない」「まだ苦しんでいる人がいる」といった声が聞かれた。
被災者の移転跡地は活用策が見つからず、移転先のコミュニティーづくりは難航する。心のケアにはきっと終わりはない。「完結」という表現の正確さより、その是非をもっと重く受け止めるべきだったと自戒した。
「心の復興」「最大被災地」「復興のトップランナー」。行政やメディアが安易に使ってきた言葉で、傷ついたり違和感を抱いたりしている人たちがいるのではないか。あらためて考えている。(保科暁史)
■メモ
国の復興財源は当初、震災10年目の2020年度が期限だったが、事業規模の大きさや用地取得の難航で完成が間に合わずに2カ年繰り越し、22年度に終了した。石巻市では北上川沿いの「かわまち交流拠点施設」の整備も22年3月に完了した。
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