(783)ぬばたまの閨かいまみぬ嫁が君/芝不器男(1903~1930年)
「ぬばたま」はもとは植物の黒い種を言うらしく、夜とか闇とか黒髪とか、黒いものにかかる枕詞(まくらことば)である。この場合「閨(ねや)」にかかって、閨の闇の深さを伝えている。インターネットでこの句を調べると「嫁が君」を「閨の闇で、嫁となった君を垣間見た」という解釈が出てくるが俳句的にはロマンチックす…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。