(786)風邪引きて星の純度を確かむる/下楠絵里(1997年~)
風邪の熱で潤んだ眼差(まなざ)し。ちょっと加減が良いので外に出て星を見ると、凍空(いてぞら)でくっきり輝く星々。熱のためか目は潤み、星もまた潤んでいるように見える。肺に入ってくる澄んだ空気には、病身が清められていくようだ。ああ、今吸っている空気にこそ、純度の高い星の輝きがある。病原に抗して生きよう…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。