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業者連携、販路開拓で活路 企業トップら新年展望 地域経済に懸念相次ぐ 石巻地方

企業のトップや行政関係者が地域経済の発展に向けて決意を新たにした賀詞交歓会

 石巻市と石巻商工会議所が5日に同市千石町の石巻グランドホテルで開いた新年賀詞交歓会。経済、行政関係者約530人が集い、企業の経営陣らが2024年の地域経済の先行きを占った。新型コロナウイルス禍からの本格的な回復への期待が高まる一方、参加者からは物価高騰や人手不足、不漁による水産業への影響を懸念する声が相次いだ。

 「2024年問題」と呼ばれる運輸、建設業などの残業規制強化が4月に実施される。

 南光運輸(石巻市重吉町)の中村章取締役港運事業本部長兼港運部長は「一つの行程を複数のドライバーが分担する中継輸送を取り入れるなど、同業者が手を取り合うことが重要だ」と語った。

 「業界の大転換期になる」と強調するのは建設業丸本組(同市恵み野3丁目)の佐藤昌良社長。「着々と準備は進めてきたが、いよいよ実施される。働き方改革と生産性向上を両輪で進めていくしかない」

 甚大な被害が出た能登半島地震については「13年前(東日本大震災)の経験がある。被害の状況や程度が明らかになるのに従い、行政とも連携して業界を挙げて支援したい」と語った。

 水産業界は近年、海水温上昇などの影響でサバやサンマといった主要魚種の不漁に苦しむ。

 木の屋ホールディングス(同市魚町1丁目)の木村隆之副社長は「資源に不安を感じるのは今年も同じ。好転することを願いながら、イワシなど数が捕れているものでやりくりするしかない」と苦労を語る。

 水産加工業大興水産(同2丁目)の尾形勝専務も「昨年は新しい商材と販路の開拓が必要になることを改めて実感した。海外のマーケットを切り開くことも大切だろう」と話した。

 日本製紙石巻工場(同市南光町2丁目)は5月、敷地内でグループの日本製紙クレシア(東京)がトイレットペーパーなど家庭紙の抄紙機を稼働させる予定だ。山本一泰執行役員工場長は「印刷紙から家庭紙への事業構造転換の象徴。木という原料は変えずに製品の付加価値を高めていく」と期待感を示した。

 物価高騰や賃上げ、利上げなどの流れを踏まえ「変化の大きい1年になる。1企業だけが良くてもだめ。協力会社にも分配できるようしていく」と語った。

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