「能登」に心重ね、20歳の決意 石巻地方3市町で成人式・祝う会
成人を祝う式典が7日、桃生地区(5日実施)を除く石巻市6地区と東松島市、女川町で開かれた。いずれの会場も主役は20歳。東日本大震災当時は小学1年生だった。石川県能登半島地震の被災者に心を重ね、各会場で式典前に黙とうが行われた。晴れ着などの華やかな衣装に身を包んだ若者たちは、改めて「日常」の大切さをかみしめるとともに、代表が大人の決意を表明した。新型コロナウイルス5類移行後初の開催となり、マスク姿は昨年より大幅に減った。
石巻市 「震災体験を全国発信」
石巻市石巻地区の成人式は同市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)であった。昨年までは新型コロナウイルスの影響で式を午前、午後の2回に分けて開催していたが、4年ぶりに対象者全員が集まる形で開催した。
対象者915人のうち、665人が出席した。鮮やかな振り袖やはかま姿が会場を彩り、お祝いムードに包まれた。
誓いの言葉を述べた東北学院大2年の斎藤凪紗さん(20)=同市蛇田=は「将来は声の仕事をしたい。東日本大震災当時は子どもで見ていることしかできなかった。大人になり、経験したことや津波の脅威などを全国に自分の声で伝えていきたい」と夢を語った。
斎藤正美市長は「石巻市の担い手として仲間たちと語らい、若い力で明るい未来を切り開いてほしい」と新成人にエールを送った。
実行委員が制作したメッセージビデオが上演され、参加者は小学校時代の恩師らの姿を見て懐かしい思い出に浸った。
東松島市 「恩返し」「夢実現」誓う
東松島市の「二十歳(はたち)を祝う会」は市コミュニティセンターであり、対象者約450人のうち324人が出席した。
参加者を代表し、会実行委員で販売業の本田楓佳さん(20)、専門学校生の千葉拓丸さん(20)が決意を述べた。
本田さんは「仕事で未熟さを感じているが、知識と経験を増やし周囲に恩返しできるように頑張る」と精進を誓った。千葉さんは「恵まれた環境を与えてくれた両親や周囲に感謝している。夢の実現に向け勉学に励みたい」と決意した。
渥美巌市長は式辞で「社会をけん引する人材として、誰もが安心して暮らせる社会実現のために励んでほしい」と述べた。
実行委員会による記念行事では中学時代の教員らからのビデオレターが上映され、懐かしい顔ぶれに会場が盛り上がった。
女川町 恩師、友人への感謝語る
女川町の成人式は町生涯学習センターで開かれ、対象者51人のうち44人が出席した。
東北学院大2年の多沢聖菜さん(20)と会社員の須田海斗さん(20)が誓いの言葉を述べ、「女川で育った誇りと責任を胸に進んでいく」と覚悟を示した。
小中学時の思い出や恩師、友人への感謝の気持ちを代表が語った。明治大2年の鈴木来哉さん(20)は「多くの人に支えられている分、自分も多くの人を支えたい」と表明。慶応大2年の高橋小紅さん(20)は「夢をかなえて、遠くの場所からでも町に貢献できるような大きな人間になりたい」と抱負を話した。
須田善明町長が式辞で「皆さんが希望を失わずに前に進もうと思えるように、大人が力を合わせて乗り切ってきた。勇気をくれたのは皆さん。それぞれの領域で力強く人生を歩んでほしい」と呼びかけた。
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