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達人、辰人2024 (7・完) けん玉パフォーマンス 小学校教諭・小野寺佑さん

技で世界とつながる

北上川を背にけん玉をする小野寺さん

 北上川の堤防に立つ男性。派手ないでたちでけん玉を練習する姿に通行人の視線はくぎ付けになる。石巻市駅前北通りの小学校教諭小野寺佑さん(32)、通称「小野寺ゴリ」さん。けん玉のワークショップやパフォーマンスなどの活動をしている。

 「けん玉は体の一部」。そう話す小野寺さんはいつもけん玉を首に掛けている。土日は一日中、長いと午前10時から翌日午前1時ごろまで、食事も忘れて練習に熱中してしまうそうだ。

 約10個のけん玉を持ち歩き、使い分ける。軽い竹製は片手で玉と剣を交互に持ち替える「ジャグリング」向き。柔らかいブナ製は皿の縁と剣先の間に玉を乗せる「うぐいす」がやりやすいという。玉に剣を乗せ、立たせたまま剣だけを床に置く「フロア灯台」は小野寺さんが考えた技だ。

 担任した学級にいた児童の影響で2016年ごろ、けん玉を始めた。挑戦してみると楽しく、はまってしまったという。

 初めは地道に技を練習するだけだったが、始めて約3カ月後、ストリートけん玉を見て世界が一変した。おしゃれに着飾り、音楽を流しながら、手の他に足や額も使いながら繰り出されるパフォーマンス。「ビビッと来た」

 ユーチューブやインスタグラムに掲載される動画を見て技を吸収しながら、自身の活動やパフォーマンスもサイトにアップロード。全国、世界各地の人々とけん玉でつながる。情報交換したり、アドバイスし合ったりして、上達していった。20年からけん玉ワールドカップにも出場し、23年は167位。出場者約900人の中で100位以内に入ることが目標だ。

 けん玉を始めて、自分に自信が持てるようになった。18、19年のNHK紅白歌合戦にけん玉のチャレンジで出場するなど、普通に暮らしているだけでは立てなかった舞台へ、けん玉が連れて行ってくれた。

 「けん玉を通していろんな人を笑顔にしていきたい」と語る。県内のプレーヤーを増やすことも夢だ。小野寺さんのけん玉は、今日も石巻の大空を舞う。
(石井季実穂)

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