(793)滝音を心音として山眠る/土見敬志郎(1935年~)
冬山の静かな様子を指す「山眠る」という季語です。木々は葉を落とし、冬眠中の動物は息を潜め、北国の山なら真っ白な雪に覆われています。紅葉や実りの時期が過ぎれば、人々が盛んに訪れることもなく、山は厳かに佇(たたず)んでいるのです。聞こえてくるのは山の深い静けさの中に止めどなく落ちる滝の音です。厳寒の地…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。