(796)手のかたちせる手袋の中の闇/高岡修(1948年~)
手から外した手袋が無造作に置いてあります。中を覗(のぞ)けば真っ暗で、闇は布の形に沿うように5本指になっているのです。言われれば当たり前のことかもしれません。しかし、さっきまで自分の手が入っていた空間に同じ形の闇があり、またその中に手を入れるのだと思うと、不気味な感じがしてきます。辺りを見渡せば、…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。