(797)被曝野の枯木の下に椅子ふたつ/中嶋鬼谷(1939年~)
東日本大震災による東京電力福島第1原発事故により、大量の放射性物質が放出され、広大な土地が汚染された。除染が進められているが、今でも帰還困難区域がある。そんな「被曝(ひばく)野」に残る「椅子ふたつ」からは、ささやかな家族の生活が浮かぶ。事故がなければ、椅子に座り談笑する2人がいたかもしれない。時が…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。