(798)直情の薄れて冬の菫かな/遠藤由樹子(1957年~)
菫(すみれ)は春の花だが、日当たりのいい場所で春を待たずに咲く菫を冬菫と言う。私にはあまりピンと来ない季題なのだが、考えてみれば私は直情径行型。真っすぐ前しか見られなくなるときがある。そんな若造だから、冬の枯色の中、格別に目を引くというでもなく咲く冬菫は見落としてしまっているのかも。ある程度年齢を…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。