(800)薪(まき)をわるいもうと一人冬籠/正岡子規(1867~1902年)
病に倒れ寝たきりになった子規を、献身的に介護したのが母と妹の律。この句、寒い庭で薪割りをしてくれる妹を描く。ところで「わる」が漢字でないのはなぜだろう。ひらがなは妹への愛(いと)おしみの表れか。だが子規は『仰臥漫録』で、律を「癇癪(かんしゃく)持ちで強情で気が利かぬ」と書いている。もちろん病人のわ…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。