ブルーインパルス搭乗記(1) 曲技飛行に念願の同乗
【元航空機整備士・添田潤】
2021年12月から4カ月間、石巻かほくの人気随筆「つつじ野」を執筆した時、航空自衛隊ブルーインパルスチームに所属していたと自己紹介しながら、ブルーインパルスに触れることなく終了しました。
読者から「期待外れだ」と非難が続々寄せられました。今回ブルーインパルスによる「アクロバット飛行についての体験を書いてみませんか」というオファーがあり、汚名返上を試みてみようと思います。
■整備士志し入隊
学生時代、将来の夢としてメカニックあるいはエンジニアと呼ばれる職業に憧れがありました。自動車の整備士を目指そうとする私に父は猛反対しました。飛行機の整備士ならいいかと尋ねると、すんなり合意してくれました。
千葉県の航空大学校に合格し入学するつもりでしたが、年間数百万円の学費がかかるのに意気消沈していました。父はそんな私の背中を押してくれました。まさに入学金を納めようと準備している時に自衛隊の勧誘の方が来て「自衛隊ならお金をもらいながら航空機整備士になれる」といわれ航空自衛隊に入隊することとしました。
ブルーインパルスが日本全国の飛行展示に出る時、整備士が後席に搭乗し先方での整備作業に当たります。そのため何度となく移動のためにブルーインパルスには搭乗していました。
松島基地を離陸すると間もなく福島県の松川浦が見え、巡航高度に達すると天候によっては富士山や佐渡島まで見渡すことができます。腰から上が全て窓のため360度、真上まで半球状に障害物がありません。空は青を通り越して黒く見えることもあります。
北は北海道・千歳空港、南は沖縄・那覇空港まで渡り歩きました。ただし、決まったルートを決まった高度で飛行しなければならないため、自分の意志で自由に飛行できるアクロバット飛行に搭乗したいと思っていました。特に生まれ育った地域を縦横無尽に飛んでみたいという願望がありました。アクロバット飛行は曲技飛行とも呼ばれ、整備士が搭乗する任務ではありません。今回は10年以上前のことですが、航空機の加重をじかに体験し、整備意欲と確実性を向上させるために例外的に搭乗した時の体験を書いてみます。
■就職先の参考に
空に憧れている若者もいるでしょう。ブルーインパルスのパイロットを目指すには門戸が非常に狭いのですが整備士なら一気に門戸が広がります。就職前の皆さんの参考になれば幸いです。
私はブルーインパルス専門の整備士でしたので構造は一通り知っていますがパイロットとは一線を画しているため素人と同じです。表現が稚拙な面はお許しください。また、字数が限られているため、つじつまが合わないこともあるかもしれませんがご容赦ください。
添田潤(そえだ・じゅん)さん、東松島市大曲市民センター所長。1963年12月、東松島市(旧鳴瀬町)生まれ。塩釜高卒。82年に航空自衛隊入隊。主に航空機整備を担い、曲技飛行チーム「ブルーインパルス」のチーフ・メカニックを務めた。2017年の定年退官後に市民センター職員となり、20年から現職。同市あおい在住。60歳。
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